違いは、科学的根拠と熊本唯一の専門性

シリーズ発達障害①

ライトスウェルは、子どもの発達支援や麻痺改善、歩くための専門的なリハビリもご提供しています。

さらに、熊本市の児童発達支援事業所で特別講師を拝命し、熊本県内外の発達支援事業所や放課後等デイサービスなどの施設からの依頼を受け、専門的な発達支援についての講師活動も行っています。

そこで最新の発達科学に基づき子どもの発達障害についてみなさんと一緒に、その理解を深めたいと思います。

第1回である今回は、子どもの発達について考えていきます。

1.発達ってなに?

みなさん、発達ってなんだと思いますか?

生まれて気が付いたら、あっという間に成長発達している赤ちゃん。実は、この赤ちゃん達は生まれる前から、お腹にいるときから発達してきています。

どのように発達しているか?

お腹の中で身体をいっぱい動かして、時には自身の顔や身体を触りながら、その感覚を感じつつ成長しています。

この時に起きているのは、脳神経系の成長です。

触れるという感覚が、脳の部位の中でも特に早く成長がみられます。そのことにより、触れた感覚は脳内に入力され、運動として出力されます。

以前まで、お腹にいる胎児は反射で指をくわえると考えていましたが、今では反射ではなく自身の意思で指をくわえている事が分かっています。

さらに双子の胎児であった場合、自分の身体や子宮壁に触れる時と双子の兄弟に触れる時ではその触れ方には違いがあり、双子の兄弟に触れるときの方が優しく触れていることが分かりました。

すごいですね。

お腹の中で赤ちゃんは様々な感覚を受け取りながら脳の機能を成長発達させているのです。

つまり発達とは、身体の感覚を得ながら運動に変換させること、それにより脳神経系の発達やネットワークを強固にすることだと考えられます。

2.発達が遅れる原因

お腹の中で胎児が触れることが、脳内の発達に繋がり運動を発生させるという事がわかりました。

これらは、子どもが成長する過程でも触れることや経験することで、脳神経システムの発達を促すと考えられます。

脳神経系のシステムの発達は、運動機能や心理・精神面、さらに社会性にもつながります

では、なぜ発達が遅れるのでしょうか?

それは、様々な原因がありますが、早産や出産後の人工呼吸器装着、脳内の器質的また遺伝的な異常などが考えられます。

37週から42週程で出産となりますが、それまでに必要な脳神経系の発達はママのお腹の中で行われます。

しかし、37週程度より以前に出産したということは、その必要な感覚や脳神経系の発達が不十分だといえます。

人間は他の哺乳類と比較して、脳機能が大きく発達したことにより未熟な状態で生まれてくると言われています。

それなのに、さらに早く早産として出産した場合、すべてのお子さんが該当するわけではありませんが、やはり脳機能の発達は不十分で生まれてくる可能性が高くなってしまいます。

人工呼吸器の装着に関しては、様々な問題が発生します。

まずは、動くべき時期に固定されてしまっていること。

先ほどもお伝えしたとおり、赤ちゃんは感覚を受け取りそれを運動に変換させます。

それがRDS(呼吸窮迫症候群)などのなんらかの問題により人工呼吸器を装着しなければならなくなった時、短い期間であっても人工呼吸器が外れないように固定された場合、触れる感覚や動く感覚は得ることが難しくなってしまいます。

さらに、人工呼吸器装着の場合、身体の動きに重要な胸郭の動きを制限させてしまいます。

最近、赤ちゃん用のかわいいおくるみが話題となりましたが、おくるみで赤ちゃんを包むと動きを制限させてしまいます。

断言しますが、本当に良くないです。

これらのことから、原因である早産や人工呼吸器の装着の両方にいえることは、適切な感覚を得る機会を失い脳神経システムの発達が不十分であるということがいえます。

つまり、発達の遅れは子どもの脳の器質的な影響だけでなく、子どもを取り巻く環境も影響するということです。

3.発達を考える。

発達の遅れを考える場合、口を触れると乳首を吸うような吸啜反射や手を握る把握反射などの原始反射を基準とする事がありますが、これらは本当に過去の考え方です。

原始反射を統合することで、成長が促されるといった考え方をお持ちの専門家も多くいますが、学会などではこの考え方は支持されていません。

吸啜反射は、何度も行うと上手になってくることや胎児は意識的に指をくわえているという研究から、これらは反射ではなく(意識的)反応だと考えられています。

さらに、手を握るような把握反射は生まれてすぐは出現せず、様々なモノを握っていたら赤ちゃんは飽きて握らなくなるという事も分かっています。

顔を向けた方へ手や足を延ばすATNRという反射に関しては、完全なATNRは全体の8%にしか出現しません。

反射は必ず起こるという意味を含みますから、そのことからも原始反射の統合で発達を考えることには限界があります

原始反射は、脳が発達すれば反射が統合され反応に変わるといった神経成熟(階層)理論をベースに考えられてきました。

しかし、子ども達は発達が未熟な胎児の状態でも双子の兄弟を思いやり、自身の意思で指をくわえます。

これは脳の発達だけでなく、感覚による脳神経系システムの構築も重要だということを示唆しています。

つまり、原始反射のように1+1=2という考えではなく、子どもの発達は1+1=2ではない世界ということです。

このような1+1=2ではない発達の理論をダイナミックシステム理論といいます。自己組織化であり非線形です。

非線形というのは、X軸とY軸があったら答えが出るものではなく、脳・身体・環境の相互環境により一つの答えがでるといことです。

もし、1+1=2という世界であった場合、人間全員が同じ身体機能や同じ心理精神機能ということになります。

そんなことはないですよね。一人ひとり身体機能も考え方も違います。それが非線形であり、自己組織化です。

もちろん、4から5カ月で首が座り、寝がえりができるといったマイルストーンを指標にしますが、全てがきっちりズレなく当てはまるというものではありません。

ハイハイしないでつかまり立ちする子どももいると思います。環境により変わります。

だからといって、ハイハイの練習を親がする必要はありません。

むしろ、これは子どもの学習の機会を親が奪っているとも考えられます。

4.まとめ

今回は、発達とはなにかについて考えてきました。

発達は、身体と脳と環境による相互作用によって行われる1+1=2ではない世界です。

非線形であり自己組織化です。

だからこそ、子どもの自主的な感覚を得る動きを阻害してはいけません。

ハイハイしなかったから、ハイハイを親がさせるのは、子どもの自主的な感覚を得る機会を親が奪っています。

大事なのは、自主的な感覚を得て運動に変換しながら、脳神経系のシステムが発達することです。

ライトスウェルは、熊本唯一の自己組織化の専門家であり専門機関より認定を得ています。

もし、不安がある場合はお気軽にご相談くださいね。

次回は、発達障害について考えていきます。

目次