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第2回膜組織について(痛みシリーズ)

9回にわたり痛みの本質について書いていきます。

今回は2回目で痛みの原因となる膜組織についてです。

1回目では、揉むや叩くという行為は、痛みの改善には直接関係がなく、膜組織が重要であるとお伝えしました。

では、膜組織とはなんでしょうか。もっと詳しく膜組織について掘り下げていきたいと思います。

人の身体は膜で包まれたミルフィーユ!

骨や筋肉をつなぐ「膜組織」が重要。

第1回でもお伝えしましたが、テレビ等のメディアでよく取り上げられている「筋膜」。

そもそも筋膜とはなんなのでしょうか。

人の身体を構成している様々な器官(筋肉や骨、心臓や胃・肝臓といった内臓、血管や神経、靭帯や腱、脂肪など)は全て、それぞれ薄い膜状の組織で包まれています。その膜はコラーゲンやエラスチンなどで構成されており、見た目は鶏肉を外側から包んでいる半透明の薄い膜のようなイメージです。

そして、図から分かるように、筋肉を包む筋膜、骨を包む骨膜、関節を包む関節包など、膜にはそれぞれ名称がついています。包まれているのは筋肉だけではありません。そして、その膜は同じ膜でありながらも名称を変えながら、全身を包んでいます。

このことから、筋膜を含む全ての膜を総称して「膜組織」と呼び、身体を包む膜のネットワークに着目したいと思います。

例えば、腕を輪切りにして考えた時に、中央に骨があり、その周りを骨膜が包み、深い部分の筋である深層筋や表面の筋である表層筋がありそれぞれを膜が包んでいます。その外側には皮下脂肪があり、皮膚が覆っています。

まるで、ミルフィーユのように層をなしています。

それら膜組織に包まれた層が、私たちの全身をすっぽりとウエットスーツのように包み込んでいます。

だからこそ、私たちの体をしっかりと形作ることができ、「第2の骨格」とも呼ばれています。

この膜組織は、私たちが身体を動かす度になめらかに層間を滑ります

しかし、体が硬くゆがんでしまうと中身である筋肉が柔らかくても、層間を滑る事ができずスムースに動いてくれません。もちろん運動パフォーマンスも低下します。

さらに、第1回でもお伝えした通り、痛みは肩や腰など、痛みを感じている部分の筋肉で起こっているのではありません。人の皮膚や膜組織には無数の感覚情報を脊髄を介して脳へ伝達するセンサーが点在していますので、硬くなった情報を脳へ送ってしまい崩れた身体の状態をベースに脳が処理をしようとします。

人の皮膚の表面や膜組織には、温度や痛みなど外部からの刺激を受け取ったレセプター(受容器)が無数に分布しています。レセプターで受け取った刺激は、ニューロン(神経細胞)や脊髄を介してまず脳幹に入力されます。その際、視床を介して大脳皮質が痛みを認知するので、私たちは初めて「痛い!」と感じます。

この膜組織は、加齢による身体の変化、生活環境や手術後の影響、ストレス、身体の崩れや痛みをそのままにする事で、正常な膜組織が崩れていき、崩れた情報を脳へ送り続け、痛みや身体の不調へとつながっていきます。

1回目でもお伝えしましたが、揉む叩く等のマッサージだけでは痛みや不調は改善が困難な理由はここにあります。

より科学的に調整しなければ、感覚を感じるセンサーが多く点在している身体は、脳へ間違った情報を送り身体不調の連鎖へとつながってしまいます。

だからこそ、筋膜だけではなく全身の膜組織を適切に調整する事が重要です。

もし、お身体のことで悩まれていたら、是非ご相談ください。

科学的根拠に基づいた理学療法士によるコンディショニング

LIGHT SWELL

次回3回目は、痛みを感じる原因について詳しく取り上げていきたいと思います。

ありがとうございました。

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