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睡眠を考える③子どもの睡眠

第1回では、睡眠とはその理解についてブログを投稿し、2回目では痛みと睡眠の関係性について投稿しました。そして今回は子どもの睡眠をテーマにブログを投稿します。

子どもの発達と睡眠の関係

1)子どもの成長と睡眠

睡眠ブログ②(痛みと睡眠の関係)でも書きましたが、睡眠はセロトニンとメラトニンの影響を受けます。

そして、睡眠リズムの発達はセロトニン神経系の発達を強く左右します。

つまり、小さい時から寝る時間がバラバラであったりすると、睡眠のリズムが崩れセロトニン神経系の発達も低下します。

このセロトニン神経系は、子どもの呼吸運動や成長時の運動機能にも影響し、3歳までに自律神経系や発汗機能だけでなく免疫系の基盤にもつながります。

さらに、覚醒系の機能にも影響を与え、集中して物事に取り込めたり、注意機能が維持できたりと、脳神経系が過剰にエネルギーを使用せずに省エネなのに、高水準で集中できるようになります。

逆に、睡眠などのリズムが不調な子どもの場合、高水準の集中が難しくその状態を維持するには、相当量のエネルギーと努力を必要とすることになります。

2)子どもの性格と睡眠

脳内のネットワークは、大きく広がりその後不要なものは刈り込まれ、必要なものだけを残すといった働きがあります。

もちろん子どもの脳内でもこの刈り込み現象は行われ、特に性格や自発性に影響する前頭葉では、5歳までに不必要なものも含めネットワークが広がり、13歳ごろまでに適切なネットワークが残るように刈り込みが行われ、思春期には成人の脳になるように調整されていきます。

この際、睡眠のリズムが崩れてしまうと、刈り込みが適切に行われず、不必要なネットワークが残ってしまい神経ノイズが発生します。

(イメージ)

刈り込みが適切に行われる→整地

刈り込みが不十分→雑草が生い茂る道

神経ノイズが発生すると、適切な感覚刺激が脳に入ったとしても、情報処理過程に歪みが生じ、適切な感覚情報として脳が処理できない危険性が高まり、子どもの性格や自発性が不安定となってしまう可能性があります。

3)子どものココロと睡眠

ココロは、適切に脳神経系が発達することが大切です。

生後6ヶ月までに睡眠を含めた生体リズムが確立して、3歳までには自律神経系や発汗機能の基盤が確立します。

子どもの性格のところでもお伝えしたように、5歳ごろには前頭葉のネットワークが広がり、10歳前後で脳全体の神経ネットワークが出来上がってきます。

ココロに影響を与える前頭連合野という場所は、適切な多種の刺激と十分な脳の休息にて成長します。

そして、この前頭連合野の休息は睡眠でしか得られません。

子どもの睡眠が不足すると、前頭連合野の働きは低下し、刺激情報も適切に受けれず歪みが生じてしまいます。

その為、健全な人間の脳を形作る作業が阻害されます。

さらに、就寝時刻が遅く睡眠時間が不足し睡眠リズムがバラバラな子どもの場合、知能の発達にも重大な影響を与えることが2005年に鈴木先生より報告されています。

4)子どもの肥満と睡眠

これは、サウジアラビアの子どもを対象にした研究なのですが、126名の14歳から18歳の少女を対象に体重の変化を調べた結果、睡眠が短い場合食欲亢進ホルモンであるグレリンの血中濃度は睡眠時間が短いほど高値を示しました。

さらに、睡眠の極度の不足は、食欲抑制ホルモンである血中レプチンが減少し、インスリン分泌が増加したにも関わらず、グルコースが増加したことが報告されています。

つまり睡眠が短いと、食欲が高まるだけでなく、食欲を抑えきれず血糖値を下げるインスリンが分泌されているにも関わらず、血糖値が上がってしまうということです。

子どもの睡眠のポイント

ライトスウェルがご提案する睡眠のポイントをお伝えします。

①睡眠の直前に入浴しない。

睡眠の直前に入浴すると、体温を過剰に上昇させてしまうので可能であれば夕食前にお風呂に入ることをオススメします。

②照明を暗めでオレンジ色に変更する。

生体リズムは、光の影響を強く受けます。なので、寝室は昼白色(5000K)や昼光色(6500K)よりも少し暗いオレンジ色に変更するだけで、その影響を軽減させることができます。

③睡眠前にスマホを見せない。

睡眠はブルーライトにも大きな影響を受けます。子どもは、大人と比べ目の水晶体の透明度が高く、ブルーライトの量も多く受けます。実は、ブルーライトはスマホよりリビングの照明の方が多く含まれている為、②照明を暗めでオレンジ色に変更するの方が重要なのですが、同様にスマホにも注意を払う必要があります。

まとめ

日本では、世界と比較し睡眠時間が短い子どもたちが多いと2019年の文部科学省の調査にてわかっています。

睡眠不足は、脳の成長を歪めるだけでなく、心を乱し太りやすくしてしまうことが分かりました。

お風呂の順番を寝る前から少し前にずらし、寝室の照明を暗めでオレンジの色に変えるだけでも、子どもの夜ふかしが改善する可能性があります。

脳や知能の発達や将来的なメタボリック症候群のリスクを回避する為にも、早期から睡眠のリズムを意識してみましょう。

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